ひたむきな四年間

3月11日の土曜日に、四年通った大学を卒業した。直感で何気なく決めた専攻をこんなに好きになれたのは、間違いなく素晴らしい先生方のお陰だと思う。本当にスペイン語が好きな人たちにその真髄を教わり、気付けば私もその魅力に取り憑かれたように勉強をしていた。確かに面倒なことも多かったとは思うが、勉強を楽しいと思ったのはこれが初めてだった。恋人からの電話を待っている間に、四年間をざっと振り返ってみる。

まず一回生。事前のクラス分けテストで大きな失態。下の上クラスに入れられた。25人のクラスで、まともそうだったのは1人だけ。あとは全員頭が悪かった。そのまともな子とは、特に仲良くはならなかったけど、お互い最後まで好印象だった。その馬鹿なクラスにスペイン語初級文法をスパルタで教えてくれた若いM先生。とてもチャーミングな人だった。演習の授業を持ってらっしゃったY先生はかなり毒舌で癖が強かったが、言ってることは正論中の正論だったので私はとても好きだった。

私は通学時間が人より長かったため、それを勉強時間にあてていた。電車で暇なのが本当に嫌いなので、やることがあるのは嬉しかったし、そのおかげで言葉がわかるようになるのが楽しかった。

言語習得において非常に重要な要素を自力で導き出すことができたのも、最初の一年があってこそだったと思う。いい友達には巡り会えなかったけど、掛け替えのない分岐点になった。


次に二回生。一回生の時のような気の抜けた雰囲気のクラスは勘弁だったので、試験を受けて特進クラスに。振り分けられたクラスは上から二番目で、意識は高くないが頭のいい子が多く、居心地がよかった。桃と月に出会ったのも、そこだった。今までの学生生活で一番楽しくていいクラスだったように思う。

人生で二人目の、そして初めて心から好きな恋人ができたのも二回生だった。私が二回生に進級する前の春に、彼が某大学校を卒業し江田島へ行く前に出会った。その時の彼と同じ年になった今、少しは大人になれただろうか。今でも春の匂いがすると彼のことを思い出す。彼の意識の中にも時折私が顔を見せることがあるといいな。あの人に恋い焦がれ、悩み、苦しみ、得たものは少なかったようでとても多かった。

三回生になった時には既に、あの人との間に物理的にも心理的にも大きな距離が生まれていて、その寂しさを打ち消すためにも必死に勉強し、働き、遊んだ。あの人がいなくても私は充実してるんだ、と言い聞かせるために必死だったが、躍起になればなるほど空回りしてるようでとても辛かった。

スペインに行ってからその恋は一方的に終わりを告げられ、行き先を失った私の心は非常に厄介な人の元に落ち着いてしまった。その人に会うと聞こえる胸の鼓動を恋だと勘違いし、その人に触れられるとゾワッとする感覚を感じているのだと決めつけた。ひどく傷付け、傷付いた、忘れたいけど忘れられない過去。

スペインでの生活はそれなりに楽しかったけど、どことなく虚しいものでもあった。だからこそその寂しさや虚しさを埋めようと、向こうでも真面目に勉強したのだと思う。もっと遊べばよかった、もっと何かを解放すればよかった、と後悔もあるが、当時の私にはあれが限界だったのだと半ば諦める気持ちもある。

やはりやや後悔が残る分、もう一度留学したい、今度こそはうまくやりたい、という気持ちがある。この気持ちとの向き合い方はこれからゆっくり考えていこうと思う。

四回生、厳密には帰国後から今までは、珍しく自分のことで色々と思い悩み、うまく行かなくて沈むことがあった。主な原因は就職についてだった。仲のいい人は知っていると思うが、私には非常に根深いCAコンプレックスがあり、協力その種から離れようとしたが、最終的に彼女たちととても距離の近い職種に就くことになってしまった。

八月に何気なく始めたアルバイトでは今までにない苦悩を味わった。でも今の彼に出会えた喜びを思うと、そんなことはどうでもよかった。

頭の悪い人たちにネチネチと虐められたが、今の彼と出会ってから自己肯定が強くなったおかげで「同じ土俵に上がれないブスたちが何か言ってる」くらいに留めることができた。本当に彼のおかげで生きるのが楽になった。

こういうことを言うと「貴女は今のままでも充分美しくて魅力的よ」とどこからか聞こえてくる気がするが、私はもっと美しくて魅力的な人になりたい。目鼻立ち云々ではなく、内から輝く女性になりたい。老けて皺が増えても、顔つきが素敵な人になりたい。

大学の4年間をとりとめもなく振り返ってみたが、総じて言えることは、「何があっても、今の自分が幸せなら全て良い思い出に美化される」ということ。だからこそ、今の自分の幸せを追求して生きていこうと思った。

新生活が始まり、精神的にも体力的も経済的にも苦しい日々が続くことが予想されるが、「清く、正しく、美しく」をモットーに、日々を丁寧に生きていけたらと心から思う。

鼻歌まじりに参りませう。